式年遷宮に檜を供給する井出の之小路山(東濃の森)

木の家スクールhttp://kinoie.web.nitech.ac.jp/第6回

岐阜県と長野県の県境にあり、かつては江戸城にも供給し、今も伊勢神宮に木材を供給している井出の之小路山(天然林)へ行ってきました。

江戸時代は不入山(ふにゅうざん)として部外の立ち入りを禁じた山でした。

今も林道に何重にも扉に鍵がかけてあり厳重な管理でした。普段、私たちは建物を建てる際、大量の材木を消費します。現場に運ばれてきたその木材はすでに四角く定型に削られ、生き物の状態から無機質な材料へと変化しています。そのような本来、森で生き生きと育っていた物を使う立場として、その材料のルーツを確認しておきたいと常々思っていました。

途中、林道の細道で休憩をしました。画像中央、奥の方に見えるところまでひたすら車で登ります。

着いた所で正午を回ってしまったので腹ごしらえのため地元名物の「朴葉寿司」をいただきました。見た目にかわいらしく、まさに素な味でとても美味しくいただきました。

伊勢神宮に納めた御神木の伐り株

御神木祭では山の斜面にステージを組み大々的にセレモニーを行います。「三ツ紐切り」という斧だけで一対の檜を「人の字」になるように伐り倒します。チェンソーは使わないそうです。

伐った後、根元にはサワラがすぐさま生えてきます。檜とサワラが勢力争いをしているのだそうです。この森は海抜1,000M。檜とサワラが7:3の割合で生息しています。もちろん自生です。


江戸時代より山の管理を任された山守の末裔の内木哲郎さんに紙芝居など交えながら楽しく
ご案内していただきました。



千年の檜 枝打ちはしていませんが幹の左側には一本も枝がありません。
左側に他の木があるとそちらには枝を出さないそうです。

千年の檜の前に見守られビレイパレスの小澤さんとのスリーショット。森に抱かれ有難い気持ちです。

今回の見学で建築材料としか見ていなかった檜がこうした山で何十年、何百年も育ち、生物(植物)としての営みを経て私たちのもとに来てくれるということが確認出来てとても有難い経験でした。そして以前よりも木に対する愛着が増し、木の生物としての特性を生かしながら大切に扱おうと思いました。

五藤久佳デザインオフィス