先日、耐震診断を終えて、その結果がやはり悪かった伝道院弘法堂。
いよいよ補強工事をするか取り壊しをするかの決断をするタイミングになりました。
そしてその決断はやはり檀家さんたちです。
某日檀家の皆さんに集まっていただきました。
皆さんがどのような意見を出されるのか全く見当もつかず、
少し不安な気持ちで会合に参加させていただきました。
診断結果の説明をし、もし改修するならば
最低限どのくらいの費用が必要なのかという試算を発表させていただきました。
すると参加者の方が「どうせ補強をするのであれば
しっかり基礎からやって大きな地震でも大丈夫なようにしたらどうか!」
との意見がでました。
当初は大地震が来た時に人命さえ守られれば良いという要望だったので
最低限の補強案で提案しましたが、
今回の話し合いでは人命を守るのはもちろんのこと、
しっかりと基礎から補強し、建物も未来永劫壊れないように
補強計画を進めていくことになりました。
「本堂」
「山門」
「観音さんとお地蔵さん」
「風景」
明治時代に建てられ、長年この地域を見守り続けてきたお寺です。
檀家の皆さんや地域の方々が幼い頃から
ここで遊び・学び・成長する姿を見守ってきた弘法堂を
危険だからとは言え簡単に取り壊す訳にはいかないのです。
そこには目には見えないこの土地を守り続けてきた歴史や思い出、
心のよりどころがあるからです。
縁あって私たちは設計者という立場で耐震補強業務に携わらせて頂いています。
この弘法堂を見守る地域の皆さんの気持ちを大切に感じ、
補強工事をしっかりと進めていきたいと思いました。
五藤久佳デザインオフィス 伊神